
これまでの東条ゴルフ倶楽部
原 田●最初に、東条ゴルフ倶楽部の特徴をお聞かせいただけますか。
伊豫部●施設としても、上品で落ち着いた内装、人数や用途に合わせてご利用いただけるミーティングルーム、広いロッカールームや浴室など、自慢できるところはたくさんありますが、うちがオープン当初からとくにこだわりを持ってやってきたことは主に二つ。
まず一つは、オールキャディーつきであるということ。しかも新卒者を採用して、長い期間かけて接客の仕方や知識をしっかりと身につけてもらってから現場にデビューさせているので、お客さまからの評判もおかげさまで上々です。
二つめは、料理がおいしいということ。料理長をはじめとするほとんどのスタッフがもとホテルのレストランのシェフであるため、ラウンドのあと、ちょっとしたコース料理で接待客をおもてなしする、ということも可能です。
原 田●僕は先ほど、坦々麺をいただいたのですが、かなりおいしくて驚きました。
伊豫部●ありがとうございます。うちの全体のコンセプトは、ひとことで言えば「高級接待コース」。
つまり、選んでいただいた方はもちろんのこと、お連れの方にも「来てよかったな」と思ってもらえるようなサービスを心がけてきました。
同時にそれが、大々的な宣伝もせずにここまでこれた理由だと考えています。
原 田●コンセプトを明確にしてターゲットを絞ったことが、東条ゴルフ倶楽部の価値を高めてきたんですね。
伊豫部●そうですね。そして今後は、東条ゴルフ倶楽部の存在をたくさんの人に知ってもらえるよう、もっと裾野を広げて、
いろんなことにチャレンジしていこうと考えています。

斬新なアイディアの理由
原 田●つまりこれから、“新しい東条ゴルフ倶楽部をつくる”、というふうに考えておられるということでしょうか。
伊豫部●はい。でも、まったく新しい、という意味ではなく、これまでの東条ゴルフ倶楽部のベースは崩さず、ほかの地域のコースですでに実績のあるノウハウを新たに取り入れていく、というものです。
原田●具体的にはどんなことですか?
伊豫部●例えば、現在、プロショップの商品を総入れ替えしています。
常に最新のものや旬なものを取り揃えて、それらで試打していただくことも可能にし、しかもほかのゴルフショップならせいぜい10%引きのところ、来場回数によって15%〜20%引きでお買い上げいただけるようにする予定です。
原田●よくあるバーゲン品のように、「古いものを安く」ではなく、「新しいものを安く」ですか?
もちろん利用者としては嬉しい限りですが、それで変な話、利益はあるんですか?

伊豫部●たしかに、利益は少ないですね(笑)でもこれはいつも来てくださるお客さまに対する私どもからの“おもてなし”の一つなんです。日ごろの感謝の気持ちを込めて還元しつつ、うちの“ファン”になっていただければという想いも込めて。
原田●なるほど。来場回数によって割引されれば、来るのが楽しくなるでしょうね。
伊豫部●それともう一つの課題は、お客さまにとってより便利でスムーズなサービスを提供することです。インターネットを使った予約サービスはもちろんのこと、自動精算機や、インターネットのサーバーを利用して、コースのナビをカートごとに取りつけ、スコアを自動で計算したり、ネット上で閲覧できるようにしたり。あと、お食事の注文を事前にできるようにするとか。これらはすでに他の地域のコースで実施しているサービスで、うちでも近々に導入予定です。
原田●ほんとに、すごいアイディアマンですよね。そういう発想って、どこから出てくるんですか?
伊豫部●私自身がもとホテルマンで、社内全体でも、とくに上層部は、以前は銀行マンだったとか不動産関係の仕事をしていたとかで、ゴルフ場勤務・運営の経験のある者が少ない、というのが大きいのかもしれません。固定観念がまったくないんですよ。“ゴルフ場はこうあるべきだ”というような。
原田●なるほど。支配人のホテルで培ったホスピタリティの精神と、社内全体がバイタリティにあふれた雰囲気であること。それが、これからの東条ゴルフ倶楽部の強みですね。

価格競争にこだわるのではなく
原田●僕は今日一日ここで過ごして、それぞれのスタッフが、お客さんがどう思っているのか、何を求めているのかがきちんと把握できているなと感じていました。「空気が読める」とでもいうんでしょうか。社員教育が行き届いているな、と。
伊豫部●うちは正直、他のゴルフ場に比べても、決して安い料金設定ではありません。でも、その料金に見合った満足を提供できれば、高いと感じさせることもないのでは、と考えています。
原田●ただ単にコースにお金をかけるような表面的なものではなく、あくまで中身の勝負ですね。
実際、これまではゴルフ場利用者も、ただ安いというだけで満足していたところがあったと思うんですよ。でも、これからはそれだけじゃないと思います。安さという満足を提供するゴルフ場ももちろん必要だけれども、もう少し高いお金を出してもいいから付加価値の得られるゴルフ場を求める人も、増えてくるんじゃないかなと。
伊豫部●うちはもともと、裾野を広げるといっても、価格競争に加わることは考えていないんです。これまで通り「高級接待コース」である東条ゴルフ倶楽部に期待してくださっているお客さまのためにも、そのラインは崩さず、より満足して帰っていただけるようなサービスを提供していくことが、私たちの務めだと思っています。

原田●いいゴルフクラブがあると、ゴルファーも育っていくと思うんですよね。そういう意味でも、中身の濃い充実したゴルフができる、いいゴルフクラブが関西にも増えるといいなと思います。東条ゴルフ倶楽部さんには、ぜひその見本になってもらいたいですね。
伊豫部●他の地域でもそうだったんですが、うちが新しいことをはじめると、すぐに周辺のゴルフクラブに情報が伝わって、真似をされるところも出てきました。それでいいと思うんですよね。そうやって各々が、価格競争だけに捉われるのではなく、サービスの向上に目を向ければ、共倒れになることなく、共営共存、みんなでいい環境がつくれるんじゃないかなと思うんです。
原田●その通りですね。これまで一般の利用者には敷居の高かった東条ゴルフ倶楽部と伊豫部さんの新しい挑戦が、関西のゴルフクラブの環境をさらにいいものにしてくれるんじゃないかと、僕も期待しています。
本日は貴重なお話を、ありがとうございました。
東条ゴルフ倶楽部
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